夜の静けさに包まれた場所で空を見上げると、光がほとんど届かない闇の中に、小さな星がひとつずつ浮かび上がります。
都会では気づけない繊細な光が、山や海辺では驚くほど鮮明に見える瞬間があります。
そんな星の姿を写真に残せたとき、時間を閉じ込めたような不思議な喜びが生まれるものです。
今回は、星空撮影が初めての人でも確実に星を写せるよう、最低限覚えておきたいポイントをまとめてみました。
基本設定を行う
星空を撮るときは、まず光をできるだけ集めるという考え方が大切です。
星はとても小さく暗いため、通常のスナップ撮影と同じ設定では写りません。
絞りはできるだけ開放に近い値を使います。
F1.8やF2.8など、レンズが開けられるだけ開けてしまって大丈夫です。
光を多く取り込むことで、星がしっかりと浮かび上がります。
シャッター速度は10〜20秒ほどが基本の目安です。
あまり長くすると地球の自転で星が線のように流れてしまうため、広角レンズならこの範囲で十分に点として写せます。
ISOは1600〜3200程度が扱いやすく、暗闇の中でも星を拾いやすい設定になります。
ただ、カメラによってノイズの出方は違うので、現場で何枚か撮り比べて最も綺麗に写る感度を探してみてください。
ピント合わせをする
星空撮影で最も戸惑いやすいのがピント合わせです。
暗闇ではAFが迷いやすく、思ったように合焦しないことがあります。
でも、手動で合わせるコツを覚えてしまえば、驚くほど安定します。
ポイントは「明るい星や遠くの灯りを基準にする」ことです。
ライブビューを最大限に拡大し、最も明るい星を画面に入れて、星が点として小さく締まる位置を探します。
ピントが外れていると星はぼんやりと滲み、合ってくると小さな点に変わります。
この「点の鋭さ」を目印に合わせていくのです。
もし空に明るい星がないときは、遠くの街灯や山の稜線近くにある人工の光を使っても構いません。
ピントが一度合ってしまえば、そのまま慎重に構図を調整すれば綺麗な星が写ります。
星空撮影ではこのピント合わせが仕上がりを左右するため、焦らずゆっくりと進めるのが一番です。
三脚を安定させる
星を点として写すには、カメラを完全に固定する必要があります。
小さな揺れでも星はにじんでしまうため、三脚の安定性は仕上がりに直結します。
まず、三脚の脚はしっかりと開き、地面に均等に接地させます。
砂地や芝生では沈み込むことがあるので、脚を少し深めに押し込んで安定させましょう。
風が強い場合は、カメラバッグをフックに掛けて重心を下げるのも効果的です。
撮影時は、シャッターボタンを直接押さず、セルフタイマーを2秒に設定するだけで揺れが大幅に減ります。
リモートシャッターがあればなお良いですが、タイマーでも十分星を綺麗に残せます。
小さな工夫の積み重ねが、夜空の透明感をそのまま写し取る鍵となるのです。
星空撮影は、少し寒い場所でじっと待つ時間の多い撮影ですが、思いがけず見たことのない光に出会えることがあります。
最初の一枚が成功すると、夜の静けさに包まれた場所でカメラを構える時間が、少し特別なものに変わります。
基本設定、ピント合わせ、安定化。
この3つさえ押さえれば、星は確かに写りはじめます。
ゆっくりと息を整えながら、夜空に浮かぶ光をぜひ静かに捉えてみてください。

