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注がれるコーヒー
機材レビュー

FUJIFILM X-S20をレビューしてみました

旅の途中でふと立ち止まりたくなる瞬間があります。
朝靄の残る道、陽の差し込む古い建物、温かい香りの漂うカフェ。そんな景色に心が動いたとき、X-S20はすぐそばでそっと寄り添ってくれる存在です。

今回は、京都や湖畔を巡りながら実際に使ってみた感触と、そこから見えてきた魅力をまとめました。

携帯のしやすさ

手にするとまず、軽さより「収まりの良さ」に気づきます。
X-S20は小型ボディながらグリップが深く、指の置き場が自然に決まる安心感があります。

旅先では移動が長くなりがちですが、ストラップに提げたまま歩いても負担が少なく、カフェへ入るときも席にそっと置ける気軽さが魅力です。

バッグから取り出す瞬間の軽やかさは、撮影のテンポを心地よく整えてくれます。
街角にふと差し込む光、川面を撫でる風、石畳に落ちた影。

その小さな変化を逃さずシャッターを切れるのは、このコンパクトさがあるからこそ。
撮影が「構える行為」ではなく、自然な仕草の延長になります。

長距離を歩くときでも、余計な重さで判断が鈍らされることがありません。
旅ではカメラ以外の荷物も多くなりますが、X-S20はその負担を最小限に抑え、景色に集中できる環境を整えてくれました。

バッテリーの心配をしていたものの、実際には一日撮り歩いても十分な余裕があり、安心して旅を任せられる相棒になっています。

色の再現性

X-S20の色には、現実を少しだけ優しく包むような雰囲気があります。
フィルムシミュレーションを変えるだけで、同じ場所がまるで違う物語を持つのはFUJIFILMらしい魅力です。

朝の光で撮った街並みは、影が丁寧に階調を保ちながら溶け合い、石壁の淡い色がしっとりと浮かび上がります。
カフェで撮ったコーヒーの湯気や、テーブルに落ちた木漏れ日も、温度のある色合いで写り、振り返るとその場の空気が戻ってくるようでした。

夕暮れの空は赤みが暴れず、青の残り方がとても自然です。
デジタル特有の硬さよりも、光の揺れをそのまま受け止める柔らかさがあり、人や旅の情景を落ち着いた印象で残したいときに特に頼りになります。

旅撮影での実用性

旅のリズムは常に変わり続け、撮影者もその流れに身を任せる必要があります。
X-S20は起動が早く、操作レスポンスも軽快で、立ち止まる時間を奪いません。

路地で出会った花、遠くを歩く人影、水辺の鳥の羽ばたき。
その一瞬をすくい取るように撮れる場面が増えました。

手ぶれ補正の効きも安定しており、夜の散策中でも落ち着いてシャッターが押せます。
光量が少ない場所でも輪郭の残り方が自然で、ざらつきが強く出にくいため、旅の夜景を柔らかく静かに残せるのが嬉しい点でした。

X-S20は「旅の記録を美しく保つための道具」として完成度が高く、その軽快さと色の豊かさが旅の感情をそっと広げてくれます。
歩きながら心が動いた瞬間を、そのままかたちにしてくれる一台でした。